水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

昭和池(香川県小豆島)

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小豆島唯一の野池密集地にある野池らしい野池。

小豆島で野池らしい野池をひとつ挙げよと言われたなら、迷わずこの昭和池を推すであろう。山がちな小豆島において北西部は比較的なだらかな丘陵地に農地と野池が密集するエリア。
小豆島で野池といえば、全国ため池100選にも選ばれているかの蛙子池があるではないかと言われるかもしれない。名勝、寒霞渓に近い山間部に凜とたたずむ蛙子池は島最大のため池でもあり、江戸時代に築造され、その難工事は土地の歌舞伎にもなっている。現在の堰体はダムスペックであり申し分ない。しかし、あまりに整然としている。立派すぎるのである。素朴さと野池らしさでいえば昭和池を推したい理由がそこにある。
また昭和池のある一帯は地図でざっと見ただけでも100以上の中小のため池が確認できる。そんな中、規模、景観、アクセスのしやすさにおいて昭和池の右に出るものはなく、やわらかな草地の岸辺にたたずむだけで、ほっこりとした気分になれる。これぞ小豆島の野池。

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水面をのぞきこめばブルーギルとブラックバスが仲良く並んで泳いでいる。カメラのレンズを向けるとブラックバスの方が少し警戒心が強く、すっと隠れる。しばらくすると、またブルーギルの横に並ぶ。仲がいいのだろうか。小豆島の池やダムでは、こんなふうにブルーギルとブラックバス、あるいは鯉といった異種の魚が肩を並べるように泳いでいる姿をあちこちで目にした。島ぜんたいが、どこかおおらかな空気をまとっている。

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対岸に目をむけると、人影のような異様な気配。
少しぎょっとしたが、じっと動かない。オブジェかと思って望遠レンズを向けた。鵜のようだ。鵜のオブジェ? 鵜にしては見たことがないぐらい大きく存在感がきわだっている。

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「子どもは釣り・遊びをしてはいけません」という看板もどこか心をなごませる。子どもには気の毒だが、子どもでなければ釣りをしてもいいともとれる。全国の池を遍路しているが、今まで見たことのない看板だった。釣り人で果たして「大人」なんているのかなと思いつつ、見た目はおっさんだから怒られることもあるまいと竿を出してみました。
また時間のあるときに、のんびり周辺の池を折りたたみ自転車などでめぐってみたいものです。

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