水辺遍路

実踏・日本の湖沼 5,900湖

上椎葉ダム(宮崎県椎葉)

かみしいばだむ。日向椎葉湖。
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平家落人伝説と民俗学発祥の地と吉川英治。

「椎葉」という名の情感、山の奥深く平家落人の隠れ里であり、「鶴富姫伝説」をはじめ民俗学の発祥の地ともされ、ずっと行ってみたかったダム湖です。しかし旅程の都合で熊本県側からアプローチしたのですが、もうとんでもない峻嶮な狭隘路を延々二時間も走らなけれえばなりませんでした。その間、すれ違ったクルマは一台だけ。もう人を見ただけでどこかほっとするほどの山深さ。
こうして上流側からダム湖にアプローチすることになったのですが、さっそく左岸側に民俗学発祥の地という看板が。明治41年、日本民俗学の祖といわれる柳田国男がここを取材して著したのが「後狩詞記」。国内に民俗学という学問はなく、柳田も学者ではなくお役人。この著書によって初めて学問として体系立てられたということで、ここが民俗学発祥の地というわけなんですね。
しかも「日向椎葉湖」というダム湖名を名付けたのは、ここを平家物語執筆の取材で訪れたという吉川英治。


和(わ)さま平家の 公達(きんだち)流れおどま追討の 那須の末よ 那須の大八 鶴富置いて 椎葉たつときゃ 目に涙
(椎葉村の「稗搗(ひえつ)き節」)


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日本初の100m超級アーチダム。

ここの魅力は椎葉村の風土だけではありません。今から半世紀以上も前、1955年に堤高100mを越える初めてのアーチダムとして竣工し、日本の土木技術史に新しい一ページを刻んだダムでもあるのです。
堰体の特徴としては、最初の巨大アーチダムということで安全性を優先した肉厚な垂直円筒アーチで、一ツ瀬ダムとならびスキージャンプ式余水吐をもっています。これは二つのスキージャンプ台に越流した水を流し、空中でぶつけることで水の勢いを殺すという日本独自のアイデアだそうです。空中高くの激しい奔流のぶつかり合いは、さぞかしすごい光景かと思われますが、なかなか見ることはできないので一ツ瀬ダムのページで妄想絵を描いておきました。

bunbun.hatenablog.com


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サクラマスの釣り場としても人気。

右岸側は国道が走っており、深く入り込んだワンドに駐車できるスペースが点在していています。それにしてもワンドごとにルアーマンの姿が。山奥なのにすごい人気。インレット側では、へらぶなも。釣りには遊漁券が必要。

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