水辺遍路

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浜松城公園の池(静岡県浜松)

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日本史上最大の空城の計の舞台。

浜松市中心部にある浜松城公園。徳川家康が武田軍に敗戦を喫し、人生最大のピンチに陥った際、兵法三十六計にあるところの「空城の計(くうじょうのけい)」を敢行し、からくも危機を乗り越えた出世城である。
空城の計とは、圧倒的優勢にある敵軍に対して堂々と門を開け放ち、あたかもどうぞどうぞと招き入れるよう装うことで、敵将になんかいやな感じ、このままほいほいと進んでいってはとんでもない計略に陥れられるのではないかという猜疑心を持たせ撤退させる心理戦術。
もちろんこれは敵将がこれ幸いと突っ込んで来るような知略に欠けた猛将ではなく、かつ、「これ怖るにあたわず、空城の計なり」と看破するほど賢い知将ではないという微妙なバランスの上に成立し、一歩間違えればたやすく全滅の憂き目にあうわけである。
それに丸裸は怖いからといって、門の前に強くも弱くもなさそうな中途半端な兵を中途半端な数で立たせるとか、そんなことをしては空城の計であることさえ敵に気づいてもらえない可能性もある。
そんなところ、家康は開け放った浜松城の門の前に篝火(かがりび)までたいて大太鼓までたたいたというから豪胆この上ない。
敵を欺かんとすればまず味方から。開け放った門の手前、味方がびびりまくって、敵の動きの一挙一動をこれ注視、手を出したら元も子もないと分かりつつも、中には失禁寸前までおどおどした弱い人間というものはいるもので、これがつい相手の動きに誘われて一矢を放ってしまったりしては、敵将に「にゃはは猪口才(ちょこざい)な」と見破られてしまう。
そこでなのかどうか分からないが、家康は茶漬けを食うと大いびきで寝てしまう。得意のたぬき眠り・・演技だったのかもしれないが、これを見た味方も大いに安堵。ここはひとつ敵さんにも茶漬けをふるまっちゃおうか、太鼓の音曲にのって踊りこましたろかなんて余裕が皆の心に生まれてくれば、敵にとっても無気味さこの上ないわけで、かくして日本史上最大の空城の計は成功するのである。
浜松というところはその後も豪胆の気質が受け継がれたのか、トヨタ、ホンダをはじめ日本のもの作りを引っ張った胆力のある人を数多く輩出している。
浜松城公園の中には、お堀の他にせせらぎの池、日本庭園の池といった水辺のほか、プールもある。
駐車場あり。

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マークした場所が駐車場入口。