すぐ西が日本海。堰堤は道路を兼ねている。奥に大池、新之池を控えた三段のため池。それにしても変わった名前の池だ。
日本海に沈む夕日を見たくて、日没まで十数分の待ち時間をスピナーベイトを投げて過ごした。
いい池である。
南岸側に砂利道があり容易に釣り歩きができた。明瞭ではないものの、たえず魚の気配がある。しかし正体が分からない。
夕闇を宿しはじめた岸近くの水草の陰で、何かが揺らいだ。じっと目をこらすと35〜40センチほどの二尾のブラックバス。スピナーベイトを送り込む。慎重に鼻先から少し離れたところを通す。変化をつけず、単調に、ゆっくり。
一尾はすっ飛んで逃げていったが、残った一尾は少しだけ興味を示した。が、そこまで。
顔を上げると、夕日が海の上に最後のまたたきを残して沈むところだった。