都心の池から1m越えのソウギョやワニガメ。
学生時代、渋谷でコンパ(懐かしい言葉だ)のあと、学内の寮に泊めてもらうために学友と終電後の深夜によく歩いた裏道。この池に会うために足かけ25年ぶりに訪れた。
周辺は住宅に囲まれ、狭い一方通行の道が網の目のよう。
深夜に歩けば同伴宿ばかりの町というイメージがあった「神泉」という神々しい地名(駅名)の由来など、当時は考えたこともなかった。
渋谷は地名のとおり周囲の土地より数段低いくぼ地。渋谷のひとつ隣の神仙もかつては湧水が豊富だった。この湧水を使い仙人が不老不死の薬を練ったというのが地名の由来とか。湧水のなごりは、この鍋島松濤公園の池に見ることができる。この池、2015年に外来生物駆除のために水抜きを行ったところ、1mを越えるソウギョやワニガメが出てきたという。
神仙といえば世間を驚かせ、桐野夏生によって小説化もされた東電OL殺人事件の現場でもある。
そんな事件も起こる前、酔い歩きに疲れ深夜に池のほとりで語らったこともあったかもしれない。
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(参考記事:朝日新聞より抜粋)
「仙人が使った水」が由来★朝日新聞2015/1/10掲載★以下全文★神泉駅南口に近いコンビニエンスストアの店先に、古ぼけた石造りの道しるべが立つ。浮き彫りになった弘法大師像の下に「右 神泉湯道」と刻まれている。
江戸期の文献によると、かつてこの地に豊富にわき出ていた水を用いて、仙人が不老不死の薬を練ったのが「神泉」の地名の由来という。弘法大師の開湯伝説と結びついて同地で栄えた「弘法湯」は、円山町を中心とする盛り場の発祥地になった。1886(明治19)年建立の道しるべが当時のにぎわいを伝える。
わき水はすべてかれ果てたわけではない。
駅から徒歩5分ほどの渋谷区立鍋島松濤公園には、都心では珍しい湧水(ゆうすい)池がある。ぐるりと散歩できる池の周囲には水車やあずまやが配され、渋谷の街の騒がしさとは別世界だ。
ただ、池は昨年11月から水質浄化と外来種駆除を目指し、天日干しの真っ最中。水を抜いた池からは、人に危害を与えるおそれがあるため「特定動物」に指定されているワニガメや、体長1メートルを超すソウギョが捕獲された。
池が再びわき水に満たされるのは3月。花見の頃には、在来種のカメや小魚がのびのびと暮らしているはずだ。(細沢礼輝)