水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

板戸沼(秋田県湯沢)

いたどぬま。

ついに到達。神秘と伝説の沼。

若畑の集落を抜け、民家の庭先を抜け、あぜ道を抜け、ブナの急斜面を這いつくばって登り、神秘の若畑沼のほとりを抜け、やっとたどり着いた板戸沼。
初年は雪に阻まれ、二年目は道が分からず、三年目にして執念の板戸沼。
どん詰まりにある山あいの若畑集落の水源となっており、若畑沼に通水している。農業用水として利用されているが、周辺は天然の湖沼群となっており、この沼の由来も同じではないかと思う。
伝説によると沼の静かな湖面に姿を映す奥宮山に、かつて修験者が一匹の白猫とともに庵を結んだ。板戸沼自体も現在の場所より山寄りにあり規模も小さかったが、嵐のあと、現在のような大きな沼になって現れた。修験者の姿は見えず、流木にのった白猫がいつまでも鳴いていたとか。
これは伝説というより、かなり事実に近い話だと考えられる。山津波で元の沼が崩落し、堰き止め湖として現在の板戸沼が形成されたのではないか。流木にのって浮かぶ白猫の印象が鮮烈なだけに、集落の人たちのあいだで語り継がれてきたのだろう。


奥宮山と板戸沼


板戸沼と若畑集落


ルートは下記から
bunbun.hatenablog.com


貝沼周辺ノ図