水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

化女沼(宮城県大崎)

化女沼ダム、化女沼古代の里、化女沼レジャーランド、宮沢遺跡


観光ツアーも組まれるほどで、今や廃墟マニアの聖地とも。

「化女沼」とはなんとも凄みのある池の名前だが、その名をさらに全国に知らしめたのが、今や廃墟マニアの聖地とも呼ばれる化女沼レジャーランド(2001年閉園)という遊園地廃墟の存在。
盛時には年間20万の入場者を集めた観光施設だがオーナーの意向により閉館時の施設を取り壊さず廃墟として維持管理されており、ロケ等にも使われてきた。
ただオーナーの高齢化で売却に動きだしたとの報がSNSで拡散したことから人気が再燃した。
対岸側にある化女沼古代の里は奈良時代の遺跡を中心に再現遺構、広場、駐車場などが整備されている。
また、堰堤にも台数は少ないながら駐車場があり、ブラックバス釣りの利用者が多い。
化女沼の周辺は東北でも屈指の野池集積地である大崎野池群が広がるので、パーク&ランガン拠点としても最適な場所である。


堰堤周囲は立入禁止。

もちろん名前なりの伝説も。

毎年、7月7日には沼の中から機織りの音。
伝承のもとになったのが照夜姫。地域の長者の娘で、白蛇の子を産み、愛用の機織機とともに沼に身を投げたという。
そんな過激な由来のほかに、この姫が沼の水を鏡にして化粧をしたので「化粧沼」になったという穏便なものも含めて、いくつもバリエーションがあるそうである。
それにしても、考えてみれば金持ちの娘が化粧しにわざわざ沼までやって来たというのも、よほど家にいたくない理由があったのか、あるいは化粧とは別の目的があったのか。とにかく、ただ化粧をする姿が沼の名前として語り継がれているのだから、その光景は異様な、あるいは異様なまでに美しく心に残るものだったことは間違いない。

沼という名のダム

昔からあった灌漑用のため池であるが、平成8年に洪水調節の役割を担った治水ダムとして整備。
堤高 24mのゾーン型フィルダムの完成により、正式には沼ではなくダム湖に位置づけられる。
釣りではブラックバスが有名だが、へらぶなや鯉釣り師もいる。
ラムサール条約登録湿地は野鳥保護のため釣り禁止となるのが通例だが、この沼では黙認されているのだろうか。東北の奥深さである。


堰堤横の駐車場


古代の里の駐車場と案内板


マークした場所は堰堤横の駐車場