水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

野反湖(群馬県中之条)

【のぞりこ。野反ダム。野反池】

池は群馬県、流れ出る川は新潟県、管理者は東京電力。

標高1500mの高地湿原にあった野反池を呑み込む形で造られた人造湖。
10kmにおよぶ山道をひたすらどんづまりまで上りに上った先にある。湖面標高1513m。
山奥の険しく急峻なダム湖を想像していたら予想を裏切られ、なんとものびやかな高原状の気持ちのいい場所だった。
水利権が転々としたというが、確かに複雑な立地にある。貯水池は群馬県、しかし流出する河川は新潟県、そして管理者は東京電力。
湖畔には遊歩道がめぐらされ、キャンプ場もある。
放流実績としては、明治の末ごろ、コイ・フナ・ドジョウ、昭和34年にニジマス、その後イワナも。
遊漁料1000円。キャンプ場で購入可。


 

ダム湖100選、遊歩100選にも。

湖を周回できる遊歩道は遊歩100選。ほか手軽な八間山登山や往復13kmの白砂山登山までさまざまなハイキングを楽しめる。キャンプ場のほか、宿泊施設や食事施設も湖畔にあるので、まったりした時間を過ごすのに最適。標高が高いので真夏でも快適。初夏ならニッコウキスゲが楽しめる。
ひとつ残念なのはカヌー・ボートが禁止であること。


 

「国内初の発電用ロックフィルダム」は正しいのか?

岩石を高所から落として堰体材料の岩を突き固め堰体を作っていくというなんとも原始的な投石工法で築造されたロックフィルダム。
1956年(昭和31年)に完成し、ウィキペディアには「日本の発電用ダムとしては初めてのロックフィルダム」と記されているが、同じ群馬県内に明治時代に完成した箱島発電所のロックフィルダムがあった。ただ、そのダムが本当にロックフィルダムかどうかは微妙で検討が必要である。
なお、野反ダムはロックフィルダムでありながら、貯水面をコンクリートで塗り固められている。このタイプは国内ではここ野反ダムと小渕ダム(岐阜県)、石淵ダム(岩手県)、皆瀬ダム(秋田県)の四基しかないとのことだが、これはそのまま日本最古のロックフィルダムのトップ4でもある。
石淵ダムだけは巨大ダム湖の奥州湖に呑み込まれてしまったが、ほか三基はいずれも魅力的な外観を見ることができる。ロックフィルダムとしては異常なほどの急勾配がもたらす緊張感がたまらない。

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八間山から


堰堤とは反対側の駐車場と売店


岸辺はなだらかでおかっぱりはしやすいがウェーダーは必要だろう


堰体側



案内板



マークした場所に案内所と駐車場