水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

曽原湖(福島県北塩原)

そはらこ。
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裏磐梯の穴場的スモールバス・フィールドだったが。

裏磐梯では三湖(檜原・小野川・秋元)に準じる規模をもつ曽原湖だが、三湖に囲まれ、かつ百を越える中小の池を従える立地のせいか、あまり目立たない存在だった。
初めて訪れたとき、これぞ裏磐梯の楽園だと心を打たれた。大きすぎず小さすぎず、島々を浮かべ、岬が腕をのばす。変化と豊かさが素晴らしい。湖畔に点在するキャンプ場では気軽に釣りができるし、マイボートやカヤックも出せる。
レンタルではエレキ付きの釣り用貸しボートなどもあり、40〜50クラスのスモールマウスバスが手がたく釣れる穴場的な存在だっただけに、いつかじっくり対峙してみたいと思っていた。

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実現したのは4年後の2017年晩夏。
磐梯山の大崩れの中にある銅沼(あかぬま)への初アプローチを試みようと早朝から裏磐梯入りしたものの、早朝から不安定な天気。
赤銅沼へは軽登山とはいえ、一応は山を歩かねばならないので天候を見つつ待機することにした。予報では回復の方向で、午後からは日も差すところもあるというが、山の上の池なので分からない。下界は日が出ても、山の上の池は雲や霧に包まれているかもしれない。
ちょうど磐梯山がよく見える曽原湖でボート釣りでもしながら、銅沼アタックのタイミングをうかがおうと思ったわけである。

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曽原湖の南側の水深は浅く、小さな島が点在する


ボート店で最近の釣況を訊ねてみると、お盆連休で激しくたたかれてしまい、その後、スモールはほとんど出ず、ラージがぽつぽつ、という厳しい状況とのこと。ただ、この日は釣り人がほかに一艇しか出ていなかったので、のんびりできそうだということでボートを半日借りることにした。
運動不足ぎみだったので手こぎボートにした。一周すれば、いい運動になるだろうと思ったが、これが大誤算。磐梯山から時折、強い風が吹き下ろし、キャスティングをしているあいだにボートが流される流される。たかだ数投するあいだにボート店の桟橋間近まで戻ってしまっていたのには驚いた。

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曽原湖は東側に流れ込みが二ヶ所

二つの流れ込みはキャンプ場などの施設がある東側にあり、こういったシャローは朝方は中小ブラックバスのフィーディングエリアになるはずだが、どこにまで行っても見渡すかぎり魚影は皆無。小魚さえ見えない。
湖奥側にあたる北側は曽原湖では最深部となり15m以上あるところも。無数の立ち枯れの木が梢だけ頭を出している状況で、おそらく水中は林のようになっているのだろう。広葉樹カバーのこじんまりした好ワンドがいくつもつづくが、あいかわらず魚の姿が見えない。

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曽原湖奥のワンドは立ち枯れが林立する深場。

ブラックバス用としてはスピナーベイトしか持っていなかったので、そのうち手詰まりになってしまい、あとはメタルジグを使ってバーチカルをやってみたり重めのスプーンでトローリングをやったりしていたが、やがて磐梯山の霧が晴れて大崩れが見えてきたので、銅沼アタックにむけて撤収することにした。出艇して四時間、アタリどころか一尾の魚影も見ないまま終わった。それでも、楽しい時間を過ごせたのは、抜群の環境だからだろう。
これだけの環境ながらブラックバス釣りに関しては入漁料は不要。もはや穴場とはいえなくなったかもしれないが、やはり魅力ある湖だった。

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うっかりしていると湖面から顔を出す梢にボートが乗り上げてしまう


マークした場所がカヤック出艇可能なキャンプ場。