水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

精進湖(山梨県南都留)

【しょうじこ / 富士五湖】

日常の向こう側、彼岸の趣き

富士五湖のひとつ。湖面標高900m、周囲長6.8kmで富士五湖では最小。
三方を山に囲まれた閉鎖的な湖岸は、溶岩の岩礁帯と樹海原生林が織りなす独特の景観によって日常を凌駕した彼岸を思わせる。
湖名が示すとおり富士講(富士山信仰)と深い文化的関わりがあるのも、あの世のような景観と無縁ではなかろう。そんな精進湖の独特な個性を生み出したのも、富士山が執拗なほど繰り返してきた火山活動である。

本栖湖や西湖と同じ湖面標高。それは巨大湖「剗の海(せのうみ)」の名残り

成因タイプとしては、富士山の火山活動がもたらした噴出物による堰き止め湖。
もともとは隣の本栖湖や西湖と一体で巨大湖「剗の海(せのうみ)」をかたちづくっていたが、富士山噴火の溶岩流が数度にわたって到来し、三湖に分断された。その名残りで三湖は今も湖面標高が同じで、地下水脈で通水している。

 

レジャーレイクとして、特に競技カヌー練習場としての存在感が増す

2020年代の精進湖をそれ以前と比べた時に、レジャーレイクとしての認知度が飛躍的に高まったと感じる。特に湖面をすべるように走る本格的な競技カヌーは、精進湖の新たな水辺景観を担っていきそう。
湖面中央部は競技カヌー、岸近くは釣り舟という棲み分けもおもしろい。

2023年9月の連休には、湖面も湖岸も人、人、人・・。精進湖にもはや昔日のような穴場感はない。


 

「穴場釣り場」の関東におけるブランド的存在

釣り場としては、冬場のワカサギの他、夏場はブラックバスとへらぶなが対象魚。特にへらぶなでは関東における聖地的な存在感を放っていた。
ボート釣りが主体となるが、南東岸の溶岩岩礁帯にはいくつかの駐車スペースと陸っぱりポイントもある。2020年に訪れた際、オイカワ、ブルーギルなどの魚影とともに、オオマリコケムシらしき生物を確認。

魚影とコケムシ(中央の写真の枝に付いた丸い物体/2020年撮影)


 

施設・設備

無料駐車場、売店、宿泊施設、レストラン、広場、ボート店あり。湖畔のレストランでは鹿カレーなどジビエも供されている。

精進湖畔のニューあかいけ。道をはさんだ対面にキャンプアカイケという名のキャンプ場入口(信号を直進)

赤池・・富士五湖ならぬ富士六湖とも。幻の六番目の池

かねてから精進湖畔にある休憩施設の名が「赤池」というのが気になっていたが、これは十年ほどに一度、大雨のあとに現れる幻の池の名で、精進湖の水位が一定以上に上昇すると出現するようだ。

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精進湖の景観と形態

夏の精進湖(2020年8月撮影)


冬のわかさぎ釣り舟(2014年撮影)

夏のへらぶな釣りとバサー(2011年7月撮影)

湖面氷結(2014年12月)

南東岸の岩礁帯


他手合浜




 

マップ

現地案内マップ


Googleマップ

マークした場所は、赤池のビューポイント(橋上)