水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

平筒沼(宮城県登米)

びょうどうぬま。平筒沼ふれあい公園。
f:id:cippillo:20130901151542j:plain

遊べる野池としては日本でトップクラスの絶対的好環境。

野池とたわむれることが厳しい昨今にあって、この平筒沼にはいつも感心させられる。米どころを支える農業用ため池の基本機能を維持しつつ、散歩、ランニング、サイクリング、野鳥観察に釣り・・水辺とのさまざまな触れあい方がある中で、ここ平筒沼ほど寛容さと多様性を保った豊潤な水辺は日本中を見渡してもそうそう見つからない。
ここに来るといつも、日本中の水辺がこうあってくれればいいのにと、ため息が出そうになる。

f:id:cippillo:20170603160220j:plain

そこかしこに用意された駐車場とトイレ、クルマを気にせず歩ける湖周遊歩道、リリーパッドにオープンウォーター、三箇所に設けられた水上デッキに、沼を見守る弁天島。こじんまり感が心地よい北部水路も平筒沼のまったく異なるもうひとつの顔だ。
わざとらしさもなく、かといって不親切なわけでもない。芯の通った野性味をベースとしたみごとな親水公園設計である。
草の岸辺、適度なリリーパッドとウィード、そして、設備、アクセス性、規模。どれをとっても東北のみならず全国屈指の水辺であることは間違いない。

f:id:cippillo:20170603161110j:plain

本湖南岸はリリーパッドのワンド。

平筒沼の取水門がある南岸は良好なワンドを形成しており、夏期は一面の蓮に覆われる。草地の護岸は広々して気持ちいいことこの上ない。
駐車場あり。

f:id:cippillo:20170603161109j:plain


2017年春撮影。
f:id:cippillo:20170603161107j:plainf:id:cippillo:20170603161108j:plain
f:id:cippillo:20170603161112j:plain



2013年9月撮影。
f:id:cippillo:20130901151543j:plainf:id:cippillo:20130901151544j:plain


南岸の駐車場は釣り人御用達。台数が少ないので休日は早い者順。
f:id:cippillo:20170603161111j:plain

弁天島など岬がせり出す。

東岸側は丘陵を背負うかっこうになるため、本湖に向かって弁天島や半島がせり出す地形になっている。ウィードのヘビーカバーもここまでは届かず、通年、水面は開けている。社が建つ弁天島には、赤蛇と龍にまつわる不思議な言い伝えも残る。南東側にも駐車場があり、ピクニックや釣りにむく。

f:id:cippillo:20170603161114j:plain
f:id:cippillo:20170603161115j:plain


対岸側から見た南東側の半島。へらぶな釣り師も見える。
f:id:cippillo:20170603161113j:plain



南東側駐車場。
f:id:cippillo:20170603161116j:plain

水上ボードウォークで対岸側とつながる本湖中央部。

本湖中央部は平筒沼でもっとも設備の充実したエリアで、春は桜の名所として花見客でにぎわう。比較的大きな駐車場が道をはさんで二面あり、トイレやレストラン、自販機などの施設も。
対岸側に渡れる水上デッキもあり、西岸側には園地が整備されている。

f:id:cippillo:20170603161118j:plainf:id:cippillo:20170603161122j:plainf:id:cippillo:20170603161123j:plainf:id:cippillo:20170603161124j:plainf:id:cippillo:20170603161125j:plain


園地。
f:id:cippillo:20170603161119j:plain


駐車場と案内板。
f:id:cippillo:20170603161126j:plainf:id:cippillo:20170603161117j:plainf:id:cippillo:20170603161121j:plain

バサーに人気の高い本湖北部。

駐車場が複数分散し、ほぼ全域に陸釣りポイントが広がっているので、先行者がいてもバージンエリアに入りやすいのが本湖北部。もし岸にべったり釣り人が張り付いていても、北部水路の吐き出しもあり、水路側にエスケープする選択もあり、バリエーションのある攻略ができるエリアである。
水上デッキもあり野鳥観察にもよい。
舗装駐車場の他、未舗装の駐車場も複数ある。

f:id:cippillo:20170603161128j:plain
f:id:cippillo:20170603161129j:plain


北部水路の吐き出し。
f:id:cippillo:20170603161127j:plain


水上デッキ。
f:id:cippillo:20170603161132j:plainf:id:cippillo:20170603161131j:plain


北部側の舗装駐車場。
f:id:cippillo:20170603161130j:plain

こじんまりとしたもうひとつの顔が、北部水路。

へらぶな釣り師が多いのが北部水路。南側はほぼ全岸にわたって釣り台設置が可能。底は浅く、数はそれほど出ないものの、落ち着いて釣りができて、なかなかのカタを見せてくれる。個人的にも思い出に残る釣り場だ。

f:id:cippillo:20170603161134j:plain
f:id:cippillo:20170603161137j:plain


水路側から本湖をのぞむ。
f:id:cippillo:20170603161133j:plain


遊歩道の下に釣り歩きや釣り台設置ができる段があるので、釣り人と散策の人がトラブルになりにくい構造になっている。柵がないのも平筒沼の特徴である。
f:id:cippillo:20170603161135j:plain


水路側には未舗装の駐車スペースが複数ある。
f:id:cippillo:20170603161136j:plain


2011年6月撮影。




平筒沼の伝説。

(登米市オフィシャルサイトより抜粋)
米山と豊里町域にまたがっている平筒沼の東端に、「弁天島(金華山金密寺)」という小島があり、今日まで不思議な言い伝えが残っています。
遠い昔、この島に一人の僧が住むようになり、島に自生しているシキミの葉を摘み取って一葉に一字ずつお経を書き、それを本尊としていたそうです。
僧は、常に一匹の赤蛇を離さず可愛がっていましたが、ある嵐の夜、突然死んでしまいました。
お通夜が開かれたとき、僧と縁の者と名乗る婦人が訪ねてきました。焼香を済ませると、見る間に一陣の風が灯を消し、婦人はたちまち赤色の大蛇に姿を変え、僧を口にくわえて荒れ狂う沼に身を投じたそうです。
やがて、悪夢のような恐怖の一夜も治まり、日が昇りかけたころ、沼の中央から一条の竜巻が舞い上がり、その中に赤白二匹の竜がハスの花飾りの付いた灯籠を捧げて昇天していく姿が見えました。
その後、平筒沼はいかなる晴天が続いた年でも、沼の水がかれることはないと伝えられています。


マークした場所は中央部のメイン駐車場


<写真アーカイブス>


f:id:cippillo:20130901151541j:plain